マットレスの処分方法|スプリング入りは「適正処理困難物」で自治体が分かれる
マットレスの処分は、家具のなかでもとくに面倒です。理由ははっきりしていて、スプリング入りマットレスが法律で「適正処理困難物」に指定されているからです。
「適正処理困難物」とは何か
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第6条の3は、環境大臣が次のような一般廃棄物を指定できると定めています。
現に市町村がその処理を行つているものであつて、市町村の一般廃棄物の処理に関する設備及び技術に照らしその適正な処理が全国各地で困難となつていると認められるもの
この規定にもとづき、平成6年3月の告示(厚生省告示第51号)で4つの品目が指定されました。
- 廃ゴムタイヤ(自動車用のものに限る)
- 廃テレビ受像機(25型以上の大きさのものに限る)
- 廃電気冷蔵庫(250リットル以上の内容積を有するもの)
- 廃スプリングマットレス
指定の理由として、環境省の施行通知は「現に処理を行っている市町村が多数あること」「全国的に、市町村の設備及び技術に照らしその適正な処理が困難な状況にあること」を挙げています。
つまり「自治体で処理しきれない」と国が認めた品目です。だから自治体によって対応が分かれます。
河内長野市は、処理できない理由を具体的に書いています。
弾力性があり砕くことが困難であることやスプリングの金属部が機械に絡まるなどにより、清掃工場で処理することができません。
自治体の対応は4パターンに分かれます
実際に公式サイトを確認したところ、対応は大きく4つに分かれました。「マットレスは粗大ごみで出せます」という一般化された説明は成り立ちません。
パターン1:市では収集しない(民間業者へ)
- 奈良市 … 「廃スプリングマットレスは、市の環境清美工場への持込及び大型ごみとしての収集ができません」。購入した店や買い換えた店に処理を依頼する方法を案内
- 松山市 … 「家庭から出るスプリングマットレス等は、市では収集しません」。一般廃棄物積替え保管許可業者へ直接持ち込むか、一般廃棄物収集運搬業許可業者へ収集運搬を依頼
- 国分寺市 … 「当市での中間処理施設の設備では、適正な処理を行うことが困難」として『処理困難物』と位置付け、収集運搬業許可業者への依頼を案内
パターン2:専用の処理券が必要(通常の粗大ごみより高い)
- 那覇市 … 「スプリング入り製品は、『そ大ごみ処理券』ではなく、『那覇市適正処理困難物処理券』を使用して出す必要があります」
那覇市の場合、そ大ごみ処理券が300円なのに対し、適正処理困難物処理券はスプリング入りマットレスが2,600円、スプリング入りソファーが1人掛け1,270円・2人掛け以上1,940円です(同市サイト・2026年5月19日更新)。
パターン3:分離すれば粗大ごみに出せる
- 河内長野市 … 「スプリング部分とその周りの布やスポンジ部分を分離すれば、それぞれ『粗大ごみ』として出すことができます」。スプリング以外の部分は推奨ごみ袋に入れば「もえるごみ」として出せるとしています
同市は2024年5月から、有料・申込み制で自宅前から収集する制度も開始しています。
パターン4:普通に粗大ごみとして収集する
- 大阪市 … スプリングマットレス(シングル、ベッド本体を除く)が1個700円、セミダブル・ダブルが1個1,000円
なお大阪市では、スプリングの入らない「ベッドのマットレス(折りたたみを含む)」は1個200円と別区分になっています。ベッド本体は解体したうえで1台1,000円です。
分解していいかは自治体で正反対です
ここは間違えると余計な手間になります。
- 河内長野市 … 分離すれば粗大ごみとして出せる(分離を推奨)
- 奈良市 … 「廃スプリングマットレスは、原型で回収をいたします。分解や破砕等を行わないでください。」
まったく逆のことを言っています。 どちらが正しいかではなく、それぞれの自治体の処理設備に合わせたルールです。自分で判断せず、必ずお住まいの自治体のサイトを確認してください。
スプリング以外のマットレスは扱いが軽いことがあります
ウレタン、高反発、低反発、ファイバー系のマットレスにはスプリングが入っていません。金属が絡まる問題が起きないため、通常の粗大ごみとして扱われることが多くなります。
大阪市の区分がその例です。スプリング入りは700〜1,000円、それ以外のベッドのマットレスは200円と、5倍近い差があります。
手持ちのマットレスにスプリングが入っているかどうかは、まず商品名や説明書で確認してください。 ボンネルコイル、ポケットコイルと書かれていればスプリング入りです。
処分の前に確認すること
1. スプリングが入っているか。 これで扱いも料金も変わります。
2. お住まいの自治体がどのパターンか。 「◯◯市 マットレス 処分」で自治体の公式ページを探してください。一般的な解説記事ではなく、自治体のサイトを見ることが大切です。
3. サイズを測る。 シングル・セミダブル・ダブルで料金が変わる自治体があります。
4. 購入した店に聞く。 奈良市が案内しているように、購入店や買い替え先が引き取ってくれることがあります。新しいマットレスを買うタイミングなら、いちばん手間がかかりません。
5. 買い替えなら家具全体を見直す。 ベッドフレームや周辺の家具は、マットレスと違って買取対象になることがあります。
マットレス以外の家具・寝具は
ソファーもスプリング入りだと同じ扱いになることがあります。那覇市は「スプリング入りソファー」を適正処理困難物処理券の対象にしています。
そのほか、自治体によっては流し台・ピアノ・浴槽・畳・便器・自動車用タイヤなども処理困難物として扱われます。
布団や毛布はまた別の扱いで、自治体によって「燃やせるごみ」で出せることもあります。 詳しくは布団・寝具の処分方法にまとめています。家具全般は家具の処分方法を参照してください。
まとめ
スプリング入りマットレスは、廃棄物処理法にもとづいて国が「適正処理困難物」に指定した品目です。だから自治体で対応が分かれます。
市が収集しない自治体、専用の高額な処理券が必要な自治体、分離すれば出せる自治体、普通に粗大ごみで出せる自治体——4パターンすべてが実在します。
しかも分解していいかどうかまで自治体で正反対です。「マットレスは粗大ごみで◯◯円」という一般的な説明を信じず、お住まいの自治体のサイトを確認してください。
疑問を解消
よくある質問
- なぜマットレスは処分が面倒なのですか?
- 法律で「適正処理困難物」に指定されているからです。 廃棄物処理法第6条の3にもとづき、平成6年3月の告示で廃スプリングマットレスが指定されました。弾力性があって砕くのが難しく、スプリングの金属部が処理機械に絡まるため、清掃工場で処理できない自治体があります。
- 「マットレスは粗大ごみで出せます」と書いてある記事を見ました
- 自治体によります。 大阪市のように普通に粗大ごみとして収集する自治体もあれば、奈良市・松山市・国分寺市のように市が収集せず民間業者を案内する自治体もあります。一般化された説明を鵜呑みにせず、お住まいの自治体のサイトで確認してください。
- 分解して出せば安くなりますか?
- 自治体によります。河内長野市は「スプリング部分とその周りの布やスポンジ部分を分離すれば、それぞれ粗大ごみとして出せる」と案内しています。一方奈良市は「原型で回収します。分解や破砕等を行わないでください」としています。正反対なので、必ず自分の自治体を確認してください。
- スプリングが入っていないマットレスはどうですか?
- 扱いが軽くなることがあります。大阪市の例では、スプリングマットレスは1個700〜1,000円ですが、「ベッドのマットレス(折りたたみを含む)」は1個200円と区分が分かれています。ウレタンや高反発のものは、通常の粗大ごみとして扱われることが多いです。
- マットレスは売れますか?
- 中古マットレスは衛生面の観点から買取対象外にしている業者が多い分野です。ただしベッドフレームや周辺の家具は買取対象になることがあります。 家具の買取条件は家具買取おすすめ比較にまとめています。
出典
本文中の数値と引用は、下記の各社公式サイトに掲載されている内容にもとづいています。 当サイトが独自に集計・調査したものではありません。
- [1]e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第6条の3参考資料https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
- [2]環境省「廃棄物処理法第六条の三の規定に基づく一般廃棄物の指定に関する告示について」参考資料https://www.env.go.jp/hourei/11/000481.html
- [3]奈良市「スプリングマットレスの処分について」参考資料https://www.city.nara.lg.jp/site/gomi-syusyu/4920.html
- [4]那覇市「そ大ごみ・適正処理困難物」参考資料https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/gomi-recycling/1001934/1007525/1001941.html
- [5]河内長野市「スプリング入りマットレスの処分方法」参考資料https://www.city.kawachinagano.lg.jp/soshiki/15/87019.html
- [6]大阪市「品目別収集区分一覧表(50音順)」参考資料https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000201907.html